大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪高等裁判所 昭和62年(ネ)817号 判決 1987年12月22日

控訴人 黒田重治

右訴訟代理人弁護士 上田裕康

塚本宏明

宮崎誠

元井信介

岡村久道

右訴訟復代理人弁護士 池田裕彦

被控訴人 阪奈信用金庫

右代表者代表理事 植田泰弘

右訴訟代理人弁護士 北村巌

北村春江

松原正大

古田子

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

理由

一  当裁判所も、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決五枚目裏四行目の「1」の次に「信用金庫の会員による合併反対を理由とする脱退は、法一七条に定める法定脱退には該当せず、法一六条に定める自由脱退に該当するものであるところ、」を、同一〇行目の「六月」の次に「を経過した日」を、同一五行目の末尾に続けて「そして、右法令、定款の規定の解釈上、合併反対会員による持分譲受請求の場合と通常の自由脱退による当該請求の場合とで、譲受価額を区別して扱うべき合理的理由を見出し得ない。」をそれぞれ加える。

2  同六枚目裏三行目及び同八行目(二か所)の各「請求」をいずれも「請求権」に改め、同三行目の「手段」の次に「であり、合併反対会員に個別的な清算を求める権利を留保させる趣旨に出たもの」を、同四行目の「準じ」の次に「又は東大阪信金の定款三六条を適用し」をそれぞれ加え、同九行目の「ある」を「あり、その保護の必要性も大きい」を加える。

3  同七枚目表二行目の「いえないし」を「いえず、また、前記甲第一号証によると、東大阪信金の定款三六条は、解散のときにおける財産の分配は出資額に応じて按分して行う旨定めていることが認められるが、右規定は清算を伴う解散の場合における残余財産の分配について定めたものと解され、本件のように、解散するけれども清算は行われず、解散する金庫の権利義務が新設金庫に包括的に承継される合併の場合に右規定を適用する余地はなく、前記のように、右定款は持分払戻の場合その払戻しの額が出資額を超えることができない旨定めて自己資本の安定維持を企図していることなどから考えても、右定款三六条を準用することはできないし、」を加え、同末行の冒頭の「を」を削る。

二  よつて、控訴人の本件控訴は理由がないから、これを棄却する

(裁判長裁判官 石川恭 裁判官 大石貢二 竹原俊一)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例